Asahi.com(朝日新聞社):NIE教育に新聞を - 朝日新聞社から
●「空気呼吸(くうきこきゅう)」の卵(たまご)がおぼれてしまうから
◇ののちゃん いまはウミガメが卵(たまご)を産(う)む季節(きせつ)だね。前(まえ)に屋久島(やくしま)の砂浜(すなはま)で産卵(さんらん)を見(み)たよ。
◆藤原先生 ウミガメは陸上(りくじょう)では動(うご)きが不自由(ふじゆう)だから大変(たいへん)そうよね。いまでこそ日本(にほん)では保護(ほご)されているけれど、人間(にんげん)やほかの動物(どうぶつ)につかまって食(た)べられたり、卵がとられたり、孵化(ふか)したばかりの子(こ)ガメが襲(おそ)われたりと、陸上に卵を産むのは危険(きけん)がともなうのよ。◇ののちゃん 産卵の時だけわざわざ陸に上(あ)がってこなくても、お魚(さかな)やカエルみたいに水(みず)の中(なか)で卵を産めばいいのに。
◆先生 水中(すいちゅう)で産卵するウミガメはいないの。池(いけ)や川(かわ)にすむカメもみな陸上で卵を産むわ。カメは爬虫類(はちゅうるい)だけど、カメにかぎらず、水中で卵を産む爬虫類はいないはずよ。
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◇ののちゃん どうして?
◆先生 脊椎動物(せきついどうぶつ)がどう進化(しんか)したか知(し)ってるかな。魚類(ぎょるい)が進化してカエルのような両生類(りょうせいるい)になると陸地(りくち)に進出(しんしゅつ)したけど、卵は魚のように乾燥(かんそう)に弱(よわ)いままだったので、水中での産卵を続(つづ)けたの。両生類から進化した爬虫類の卵は殻(から)で覆(おお)われて乾燥から守(まも)られ、陸上で卵を産めるようになったのよ。
◇ののちゃん 殻があるかないかが、卵を産む場所(ばしょ)を分(わ)けているんだね。
◆先生 卵が息(いき)をできないと大変だから、殻には小(ちい)さな穴(あな)がたくさんあいているの。そこから外(そと)の空気(くうき)を取(と)り込(こ)んだり、はき出(だ)した二酸化炭素(にさんかたんそ)を外に出したりして呼吸(こきゅう)しているのよ。こうやって爬虫類は完全(かんぜん)に陸上での生活(せいかつ)に適応(てきおう)したわけね。
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◇ののちゃん あれ? 爬虫類のウミガメが水の中でくらしているのはおかしいよ。
◆先生 爬虫類にはウミガメのように水中に戻(もど)ってくらすようになったものもいるの。でも、空気中で呼吸する卵を水中に産んだらおぼれちゃうでしょ。
◇ののちゃん だから、産卵だけは陸上のままなんだね。
◆先生 同(おな)じように陸から海(うみ)に戻ったウミヘビのなかまのエラブウミヘビも上陸して産卵するのよ。でも、ほかのウミヘビは水中で産むの。
◇ののちゃん えーっ、それじゃ卵がおぼれちゃう。
◆先生 お母(かあ)さんのおなかで卵をかえして、赤(あか)ちゃんヘビを産むからだいじょうぶよ。
◇ののちゃん 赤ちゃんを産むのは哺乳類(ほにゅうるい)だけじゃないの?
◆先生 卵を産むことを卵生(らんせい)、赤ちゃんを産むことを胎生(たいせい)というの。哺乳類はほぼすべてが胎生よ。でも、卵生がほとんどの魚類や爬虫類の中にも、胎生のものがいるのよ。
◇ののちゃん 赤ちゃんを産むお魚かあ。ふしぎ。
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◆先生 水中にすんでいる爬虫類はいまはあまり多(おお)くないわ。でも、恐竜(きょうりゅう)が栄(さか)えていた中生代(ちゅうせいだい)には、首長竜(くびながりゅう)や巨大(きょだい)なトカゲ、魚竜(ぎょりゅう)など、さまざまな爬虫類が海でくらしていたそうよ。
◇ののちゃん 魚竜って、イルカそっくりだよね。
◆先生 海生(かいせい)爬虫類のうち、上陸して産卵していたもののほかは、イルカやクジラのように胎生だったと考えられているわ。海中(かいちゅう)で出産中(しゅっさんちゅう)のものとされる化石(かせき)もいくつか残(のこ)っているのよ。
(取材協力=自然環境研究センター・千石正一研究主幹、サイエンスライター・金子隆一さん、構成=武居克明)
◇調べてみよう
(1) 日本(にほん)では、どの地方(ちほう)にウミガメが上陸(じょうりく)するか調(しら)べてみよう。
(2) 野生(やせい)のイシガメやクサガメは、どんな場所(ばしょ)に産卵(さんらん)するかな。
(3) 赤(あか)ちゃんを産(う)む生(い)き物(もの)は、哺乳類(ほにゅうるい)のほかにどんなものがいるだろう。
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