ツアー報告 In コスタリカ
ツアー報告 in コスタリカ
(2004年5月20日−25日)
US FRONTLINE社(在米邦人向けの週間コミュニティー雑誌を発行)から編集者のY氏が取材兼エコツアー体験に来る事になった。8月には同社の雑誌にて特集が組まれる事になっており、在米邦人にコスタリカを知ってもらうには絶好の機会と思われる。このツアーは探鳥ツアーではないので、野鳥の探索時間は非常に少なかった。しかし、野鳥の存在は無視できないので、一部の野鳥だけをハイライト的に述べる事にした。
5月20日
Rufous Motmot(オオハチクイモドキ) | Tawny-chested Flycatcher |
早朝、フルーツ・フィーダーに群がる小鳥達を観察するため2階のバルコニーへ向かう。霧が深く丘の下の風景が見えなかったが、いつもの様にMontezuma Orppendola(オオツリスドリ)、Chestnut-headed Oropendola(クリガシラオオツリスドリ)、Black-cheecked Woodpecker(ホオグロミヤビゲラ)、Hoffmann's Woodpecker(コスタリカキビタイシマセゲラ)、Blue-gray Tanager(ソライロフウキンチョウ)、Passerini's Tanager(コシアカフウキンチョウ)、Gray-headed Chachalaca(ハイガシラヒメシャクケイ)、Brown Jay(チャイロカケス)、White-shouldered Tanager(モンツキクロフウキンチョウ)、Yellow-faced Grassquite(キマユクビワスズメ)、 Black-striped Sparrow(クロスジオリ−ブシトド)などが姿を現す。正面の木にはWhite-crowned Parrot(メキシコシロガシラインコ)が飛来するが、霧のせいで美しい体色も今ひとつの様子。
その後、Keel-billed Toucan(サンショクキムネオオハシ)、Violaceous Trogon(ヒメキヌバネドリ)、Masked Tityra(サカツラハグロドリ)が毎朝来る場所に向かうが、フルーツがすっかり食べつくされており、Golden-hooded Tanager(キンガシラフウキンチョウ)、Great Kiskadee(キバラオオタイランチョウ)が飛来したのみであった。Y氏にキャッシーのバルコニーにCollared Aaracari(ムナフチュウハシ)の家族が来る頃なので様子を見に行って来ると告げ、バルコニーへ向かう。すると1羽ではあったが目の前で休憩していた。直ぐにY氏を連れて来たが、既に姿はなかった。しかし後に餌台や同バルコニーでペアを満喫した。
この日のハイライトは何と言ってもFiery-throated Hummingbird(ヒノドハチドリ)であった。Y氏に群がるハチドリの説明をしていたら、本種が1羽枝に止まっていた。「あれはヒノドハチドリと呼ばれ、光の反射次第では虹色に見えるんですよ。コスタリカに生息するハチドリの中でも最も美しい1羽です・・・・えっ!ヒノドハチドリ!?」このハチドリは高地に生息しており、標高900mほどに位置するランチョ・ナチュラリスタでは有り得ない事であった。私は直感的に初記録と思いロッジの野鳥リストを調べたが、過去に一度だけ記録があったようだ。しかし、非常に稀な記録である為、すぐさま撮影した。
小さな鳥は後方に飛ぶことができる
日中は雨が降り、行動時間が非常に限られてしまった。しかし、午後半ばには雨も止み、前日に撮影出来なかったバシリスクトカゲを求め、坂を下り行く。途中、Cecropiaceae科の植物とアステカ蟻の関係、Heliconiaceae科の植物とドクチョウの関係、Bromeliaceae科の植物とヤドクガエルの関係、私の過去の珍体験などを話しながらバシリスクトカゲを探す。しかし、一瞬、藪の下に姿を見せたのみであった。メタリック・ブルーに輝くモルフォ蝶が現れたのがせめてもの救いであった。
野鳥ではCrimson-collared Tanager(ベニエリフウキンチョウ)、Barred Antshrike(シマアリモズ)、Red-throated Ant-Tanagerノドアカアリフウキンチョウ)、Golden-olived Woodpecker(キンバネモリゲラ)、Black-headed Saltator(ズグロイカル)、Golden-crowned Warbler(キンイタダキアメリカムシクイ)、Streak-headed Woodcreeper(シマガシラオニキバシリ)、Tropical Kingbird(オリーブタイランチョウ)、White-crowned Manakin(シロボウシマイコドリ)、Rufous-tailed Jacamar(アカオキリハシ)などを観察できた。
夕刻には再度ハミングバード・プールへ向かう。この日も水の流れが速くハチドリの出現を諦めかけたが、Violet-crowned Woodnymph(エンビモリハチドリ)と待望のPurple-crowned Fairy(スミレセンニョハチドリ)が水浴びに数回やって来た(ホッとした)。そのおかげか、美味しい夕食も更に美味しく感じた。
5月23日
早朝、三度目の正直でバシリスクトカゲの撮影に出掛ける。しかし、神様は我々の味方をしてくれなかった。生き物を対象にするビジネスは難しいと実感する。中高地なので、本種の個体数も低地に比べると少ないのも理由の一つであると言えよう。朝食時に今日からの宿泊先であるターコル・ロッジから電話があり、洪水のために道路が封鎖されているとの連絡が・・・・オオ、マイゴット!と叫んだかは定かではないが、急遽目的地をケツァールが生息するセベグレ・マウンテン・ホテルへ変更する。
出発前にY氏は特集記事に必要なロッジの写真撮影をする事になり、その間に私は散策路へ向かう。Collared Trogon(クビワキヌバネドリ)、Ochre-bellied Flycatcher(チャバラオリーブハエトリ)、Olive Tanager(オリーブフウキンチョウ)、White-collared Manakin(シロクロマイコドリ)、Squirrel Cuckoo(リスカッコウ)、Crimson-fronted Parakeet(アカビタイメキシコインコ)、Rufous Motmot (オオハチクイモドキ)、Tawny-chested Flycatcher(ムネアカハシグロハエトリ)などを観察した。最後の二種は営巣をしており、Tawny-chested Flycatcher(ムネアカハシグロハエトリ)に関しては巣から雛の声が聞こえてた。ホテルのスタッフ全員で撮影をした後は一路標高2200mに位置するセベグレ・マウンテン・ホテルへ(さようなら、ランチョ・ナチュラリスタ!もっとジンジャー・クッキーが食べたかったよぉ〜・・・・って、しっかりお土産に包んでもらった私)。
予想はしていたがやはり高地は雨であった。ハイウェイ沿いに「貧乏人の傘」と呼ばれるgunneracea科の植物があり、Y氏は雨にも負けずに撮影をする。ホテルに行く途中にアボカドの実がなり、Resplendent Quetzal(ケッアール)が頻繁に観察される場所を通過する。激しい雨のためフルーツの熟れ具合も分らず。ホテルに到着するもこの雨では何もできないので、ハチドリのフィーダーを観察しに行く。
男性anolesは何と呼ばれてい
いつもの通り、Violet Green-ear(ミドリハチドリ)、 Magnificent Hummingbird(アオノドハチドリ)、White-throated Mountain-Gem(シロノドシロメジリハチドリ)、Scintillant Hummingbird(コスタリカノドジロフトオハチドリ)、Volcano Hummingbird(ベラエリフトオハチドリ)の忙しい姿を見つける。同時に昨日ランチョで偶然発見した、Fiery-throated Hummingbird(ヒノドハチドリ)の姿もあった。後に4羽の個体がフィーダーの周りにいる事を確認したが、同ホテルでも珍しい事であった。
ハチドリ以外には同様に砂糖水を求めてSlaty Flower-piercer(ウスズミハナサシミツドリ)の姿もあり、眼下に広がる藪や木にはAcorn Woodpecker(ドングリキツツキ)、 Black-faced Solitaire(キバシヒトリツグミ)、Long-tailed Silky-Flycatcher(オナガレンジャクモドキ)、Common Bush-Tanager(ヤブフウキンチョウ)、Sooty-capped Bush-Tanager(マミジロヤブフウキンチョウ)、Ruddy-capped Nightingale-Thrush(チャボウシツグミ)、Flame-throated Warbler(ノドアカアメリカムシクイ)などが確認できた。
ロッジ在住のガイドのメルビンやマリノに最近のケツァールの観察状況に関しての情報を得る。既に雛達は巣立って居り、ケツァールは森の散策路でしか見れないだろうと言われる。二週間前まではホテルの庭や近くで容易に観察できただけに、残念な情報であった。なんとか雨が夕方に止み、ケツァールがいるかもしれない山の散策路に下見へ向かう。しかし、探す時間が一時間も無く、姿どころか声も聞こえず。
途中にいつものように混種の集団に遭遇する。Collared Redstart(クビワアメリカムシクイ)、Yellow-wiged Vireo(キバネモズモドキ)、Spangle-cheeked Tanager(サザナミフウキンチョウ)、Silver-throated Tanager(ギンノドフウキンチョウ)、Black-cheeked Warbler(ホオグロアメリカムシクイ)、Spot-crowned Woodcreeper(ホシガシラオニキバシリ)、Streaked Xenops(マミホオジロカマドドリ)などが忙しく移動していた。明日も短時間しかケツァールを探す時間が無いので、焦りを感じながら下山する。高地の夜は冷え込む。
Fiery-throated Hummingbird (ヒノドハチドリ) | Sulfur-winged Parakeet |
5月24日
早朝 、喧しく鳴く国鳥、Clay-colored Robin(バフムジツグミ)やRufous-collared Sparrow(アカエリシトド)の声で目が覚める。身支度をして外に出ると快晴の空が広がっている。庭の周りで新たにYellow-thighed Finch(クロキモモシトド)、Flame-colored Tanager(ホノオフウキンチョウ)、Tufted Flycatcher(フサボウシハエトリ)、Black-thighed Grosbeak(クロモモオウゴンイカル)を観察できた。
その後、Y氏と共にケツァール探しへ向かう。昨晩、考えた末に山の散策路には敢えて行かず、庭の周辺やアボカドの木の前で探す事にした。第一、山の散策路に行って探す十分な時間が無かった。アボカドの実もまだ少し残っていたので、そこにケツァールが飛来するのを祈るのみであった。
どのような4点は、フクロウが住んでする必要が穴を掘るのですか?
Yellow-bellied Elaenia(キバラシラギクタイランチョウ)、Band-tailed Pigeon(オビオバト)、 Sulfur-winged Parakeet(ホオベニインコ)、House Wren(イエミソサザイ)、Elegant Euphonia(サンショクフウキンチョウ)、Blue-and-white Swallow(アイイロツバメ)を新たにリストに加えたが、肝心のケツァールは姿を現さない。やはり無理してでも散策路まで登って行くべきだったのか。後悔し始めた頃、ようやくケツァールがアボカドの木に飛来する。しかし、残念な事に雌であった。その後、雄が飛来するかと期待は高まった。しかし、出発時間が来てしまい、最悪の結果となってしまった。皮肉な事ではあるが、雌に遭遇する確率の方が圧倒的に低く、雌のみの観察は今までで初めての経験であった。
せっかく、ニューヨークから取材に来ていただいたY氏には非常に申し訳ない結果になってしまったが、「少なくとも雌が見れたし、雌も十分に綺麗だった。」とY氏は寛大であった(御免なさい)。念のため、途中、ケツァールが頻繁に食事に来る場所に立ち寄ったが、時間が10時を過ぎていた事もあり姿は無かった。この日の午後はY氏はサンホゼ市内でのインタビューに向かう予定があり、私も一旦帰宅した。
Yellow-bellied Elaenia (キバラシラギクタイランチョウ) | Rufous-tailed Hummingbird |
5月25日
いよいよツアーの最終日。早朝にプンタ・レオナ・ホテルへ向かう。太平洋側の低地熱帯雨林に囲まれた巨大なリゾート・ホテルには私有保護区があり、そこで散策する事になっていた。当初の予定では私が普段仕事しているターコル・ロッジに宿泊し、カララ国立公園に行くはずであった。途中、太平洋沿いに巨大なMagnificent Frigatebird(アメリカグンカンドリ)、Brown Pelican(カッショクペリカン)の姿を上空に見つける。
いざ目的地の近くに来ると、電話で聞いた話とはまるで嘘であるかのように水は引いていた。ターコル・ロッジに立ち寄り、ロッジ近くにて3羽のScarlet Macaw(コンゴウインコ)を満喫する。Y氏にこの鳥の美しい飛翔姿と個体数減小が野鳥ガイドになる動機になったと話す。いつ見ても自然の中で自由に飛んでいる本種の姿は美しく、ペットの対象として捕獲されてしまう現実に胸が詰まる。その後、プンタ・レオナ・ホテルへ出発する。
到着後、Y氏と直ぐに散策路を歩き始める。二次林ではあるが、なかなか見応えのある保護区であった。直ぐに木の上で羽繕いしているChestnut-mandible Toucan(ニショクキムネオオハシ)を見つける。木には所々に白蟻の巣があり、Y氏にparakeets(インコ)、trogons(キヌバネドリ)、puffbirds(オオガシラ)などが巣内に営巣する事、しかも白蟻と壁越しに共生できる事を話す。実際に下部に穴が開いている巣もあったが、宿主が現れなかったため、どの鳥が営巣しているかは分らなかった。
しばらく進むと忙しく鳴いているBair's Trogon(パナマハグロキヌバネドリ)や巨大なPale-billed Woodpecker(ズアカエボシゲラ)の姿があった。Riverside Wren(シマバラマユサザイ)、Black-faced Antthrush(カオグロアリツグミ)、Northern Bentbill(カマハシタイランチョウ)、Orange-billed Sparrow(アカハシシズカシトド)、Rufous-naped Wren(アカエリサボテンミソサザイ)、Rufous-tailed Hummingbird(ハイバラエメラルドハチドリ)、Common Tody-Flycatcher(ハシナガタイランチョウ)、Orange-collared Manakin(オレンジマイコドリ)、Cocoa Woodcreeper(キノドオニキバシリ)、Ruddy Ground-Dove(ケアシスズメバト)、Gray-chested Dove(ハイイロシャコバト)、White-whiskered Puffbird(シラヒゲオオガシラ)、上空を飛ぶScarlet Macaw(コンゴウインコ)など、いずれもカララ国立公園でお馴染みの鳥達であった。
一時間後にブルーフラッグに指定されている白い砂浜のビーチに立ち寄る。この時期は観光客もほとんどいないので、ほぼ貸し切り状態。日本人観光客がこの光景を見たら、感動する事間違いなしの贅沢なシチュエーションであった。途中に聖なる木とも呼ばれ、グアテマラの国木でもあるCeiba pentandraを見る。樹齢400年と表記があり、流石に見応えのある木であった。ちなみに、コスタリカの国木はEnterolobium Cyclocarpumである。昔日本のCMで写っていた「この木、何の木、気になる木」と外見が似ている。
昼食時になり、ターコル・ロッジへ戻る。途中、牧草地帯にいつものようにBlue-black Grassquit(シコンヒワ)、Strip-headed Sparrow(ホオグロスズメモドキ)、Variable Seedeater(カワリヒメウソ)、Common Ground-dove(スズメバト)、Groove-billed Ani(ミゾハシカッコウ)などの姿を見つける。昼食後はマングローブ林のプライベート・ボート・ツアーに。今回はいつものルイスがいないので別のボートに乗る。出発も船着場からではなく、ロッジの目の前の干潟から直接ボートに乗り込む。長靴が干潟の泥にはまり、何度も身動きがとれなくなる。船頭の助けでなんとかボート内へ(情けない)。
Mangrove Black-Hawk(マングローブクロノスリ)、White Ibis(シロトキ)、 Tricolored Heron(サンショクサギ)、Roseate Spoonbill(ベニヘラサギ)、Wood Stork(アメリカトキコウ)、Little Blue Heron(ヒメアカクロサギ)、Ringed Kingfisher(クビワヤマセミ)、Green Kingfisher(ミドリヤマセミ)、Mangrove Swallow(シロオビミドリツバメ)、Mangrove Warbler(キイロアメリカムシクイ)、Bare-throated Tiger-Heron(ハゲノドトラフサギ)など、書き切れないくらいの水鳥を観察しながらマングローブ林を楽しむ。
クロコダイルの個体数も多く、途中、船頭の一人が小島に降りてクロコダイルに魚を与える離れ技を披露してくれる。全長3-4mのクロコダイルが大きな口を開いているにもかかわらず、冷静に魚を与え、しかも鼻先をなでる余裕すらあった。Y氏もこのボート・ツアーは楽しかった様子であった。
帰路の途中にフタツユビナマケモノを見に都市公園に立ち寄る。この公園はBlack-and-white Owl(シロクロヒナフクロウ)が過去5年間居座っていて有名であった。しかし、いつもの木を探しても姿は見えず。そこで路上でアイス・クリームを売っているおじさんに聞いたところ、姿を消してしまったと教えてくれた。
元々、熱帯雨林に生息する本種が小さいな都市公園にいる事自体が不思議であった。ようやく彼らも本来の場所に戻ったのであろう。この公園でもう本種に会えないのは残念ではあるが、彼らにとってベストな事であろう。Y氏にその事を告げ、フタツユビナマケモノを撮影した後、我々はサンホゼに向かった。
Y氏は28日まで市内での取材が残っており、私とは今日が最後となった。Y氏のエコツアーの体験は5日間と非常に短く、コスタリカの素晴らしさを満喫するには十分ではない。しかし、この国の魅力は確かに実感されたようで、8月の特集記事が非常に楽しみである。
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